8月31日、16時10分。
「皆様、只今那覇空港に着陸致しました。シートベルト着用のサインが消えるまでは・・・」
T19「・・・・・・」
オーストラリアでの大失敗から5年、遂にこの日がやって来た!
私は早速、タクシーに乗り込んで最寄りの釣具屋へ。まずは聞き込み調査といこう。
T19「ここら辺で、オオウナギがよく釣れるポイントってありますか?」
店員「オオウナギなら漫湖エリア全域に居るはずですよ」
T19「そうですか!(俺の読みが当たったな!)」
店員「ミミズかエビを餌に付けといてね、ハリスは」
T19「いえあの、ルアーで狙おうと思ってます」
店員「オオウナギはルアーじゃ無理じゃないかな~」
T19「無理・・・ですか・・・」
店員「たまたまルアーに引っ掛かることはあっても、狙っては釣れないと思うね。ルアーなら海が良いさ~」
成る程ねぇ、ネットで下調べした時も、奴を餌で釣ったという話なら山ほどあったけど、ルアーで釣った話は殆ど無かったし、実際難易度は高いか。
だけれど、俺は5年前、ルアーでイールに口を使わせている。
釣具屋の店員さんには悪いけど、俺は今回もルアーに拘り抜いてやる!
その日は時間も遅かったし、そのままビジネスホテルにチェックイン。
晩飯だけ食べてすぐに寝て、9月1日の9時、チェックアウトしてフィールドへ!
↓今回、活動の拠点となる『漫湖(まんこ)』
T19「ここは何本かの川が流れ込んでできた干潟で、厳密には湖じゃない」
ティンバー「干潟ってことは海の側か」
T19「その通り。漫湖は潮の加減が解り辛いから」
白「ちょっとあなた何言ってんの・・・」
T19「え?」
白「いや・・・何でも無いけど・・・」
T19「まぁとにかく、潮の満ち引きの影響を受けない、川の上流域で釣りをしようと思う」
スラ「自転車は買わなくて良いの?」
T19「今回は那覇から出ないし、徒歩で十分だ!」
と言うわけで、徒歩で最寄りの川へ向かい、川沿いを上流に向かって歩きます。
川の中には、ギルをデカくしたような奴や真っ黒な古代魚みたいな奴がチラチラ見えます。
けど、(沖縄の川はどこもそうなんですが)足場が高く水際まで降りられる場所が全然無い(汗)。
数十分以上歩き、ようやく降りられる場所を発見!
T19「さぁ調査開始!」
白「川の中にいっぱい居る黒いのは何なの?ニゴイを太くしたような・・・」
T19「あぁアレか。奴等はアマゾン川原産の外来ナマズで、正式名称『マダラロリカリア』。通称」
スラ「プレコだよ!」
白「あっ、聞いたことある名前」
T19「何なら捕まえてみようか?」
白「捕まえる?釣るんじゃなくて?」
T19「プレコは手掴みが1番!」
草食性の強いプレコがルアーを襲うことはまず無く、全身が鎧のように硬いため、針も通りません。
しかし奴等は動きが極端に鈍くて、近付いても逃げようとしない。だから、手掴みが1番早いんです。
T19「ほれ!プレコGET!」
白「何て言うか・・・魚っぽくないよね。グロテスクで気持ち悪いかも・・・」
T19「そうか?俺はこのグロさ好きだけどなぁ。せっかくだし、もうちょっとプレコ捕りを楽しむとしようか♪」
プレコの中にも、頭が大きな奴、背が高く盛り上がった奴、模様の色が違う奴など個性的な子が居て、なかなか面白いもんです。
中には明らかに別種っぽい個体も・・・。
T19「大量大量捕り放題♪」
13「こらマスター、いつまで油売ってる気だ」
T19「時間はまだまだあるんだし」
13「お前の相手はそいつ等じゃないだろ。本来の目的をもう忘れたか~?」
T19「はいはい分かりました。釣りすりゃ良いんでしょ」
パックロッドを伸ばし、リールをセット。
最初に投げるのはもちろんティンバータイガー!
ゴロタが多く沈んでるけど、全く根掛かりせず快適に使えます。流石は俺の嫁!
岸と平行にリトリーブしてると、グイッと引っ張り込むようなバイト!
「よっしゃ!」とアワセたものの、何か引きが変・・・プレコか?もしかして早速イール!?
↓揚がったのはこの子
ティンバー「ホンマもう無理!死ぬ!背中思いっ切り噛みよったコイツ!痛いわもう!」
T19「言い忘れてたけど、沖縄の川って何故かスッポンも多くてなぁ」
ティンバー「ウチもう帰りたいねんけど・・・」
今回初の釣果は、まさかのスッポン。
完全に外道ですが、興奮させてくれたことには感謝です。
その後はラバージグに変えてボトムを探るも、プレコにぶつかるばかりでバイトは無し。
あっと言う間に日が傾き始め、ひとまず夕食休憩を取るため護岸を上がり、来た道を戻ります。
下流の汽水域に差し掛かると、ゴツいロッドで大きなミノーを投げている中年アングラーが。
こんな小さな川に、あんなミノーを食える魚が居るのか?ひょっとしてあの人もイール狙いか?
普段、他のアングラーに興味を示さない私でも、その釣人のことが気になって仕方ありません。
そして、私にしては珍しく、自分から話し掛けてしまいました。
T19「すみません。何を狙っておられるんですか?」
釣人「今ね、GTを釣ろうと思ってるんですよ!」
T19「GTって・・・この川でですか・・・?」
釣人「そう!」
ハッキリ言って、「このおっちゃん正気か?」と思いました。
だって川幅が10メートルも無いような街のド真ん中の川でGT(=ロウニンアジ)って・・・。
すると、おっちゃんはスマホを取り出して、1枚の写真を私に見せてくれました。
そこには、今我々が居るのと同じ場所でメーターオーバーのGTを抱きかかえる彼の姿!
T19「リバーGT・・・凄い・・・!」
釣人「この川は結構魚影濃くてね、メッキならすぐに釣れると思うよ」
そう言って、スピニングタックルに持ち替えたおっちゃん。
小さなワームを投げて、チャッチャッとアクションさせると・・・
↓マジで1投目でキャッチされました!
T19「こんな凄い人に出会えるなんて、滋賀から来た甲斐がありますよ!」
釣人「あら滋賀から来たの!?何を釣りに沖縄まで?」
T19「あっ、僕はイール・・・じゃなくてオオウナギを狙ってます!」
釣人「オオウナギだったらポイント知ってるよ。ただルアーは難しい・・・」
おっちゃんは私に、イールがしばしば目撃されているピンポイントを、分かり易く教えてくれました。しかし、やはりルアーで釣ったという話は聞いたことが無いとのこと。
釣人「オレはウナギ狙ったことなくて、あんまり釣り方とか分かんないけども、1つアドバイスするなら、最後まで悪あがきすること!」
T19「悪あがきですか・・・」
釣人「オレも川でGT釣る!なんて言ったら馬鹿にされまくったんだよね。海行けよって。でも悪あがきしてたらある日ポンッと釣れちゃって(笑)。やっぱそういうの大事だと思うの!」
それから、沖縄の釣り事情を聞いたり、滋賀の魚について語ったりして、1時間以上談笑(やはりこのおっちゃんも、バスにはかなりの憧れを持ってるようでした)。
そして、おっちゃんは「頑張ってね!」と笑顔で手を振りながら帰って行きました。
見ず知らずの人に声を掛けて良い思いをしたことは少ないけど、今回だけは本当に良かった。
よし!明日は教えてもらったポイントへ調査に向かうとしよう!