9月3日、9時。ビジネスホテルにて。
T19「・・・・・・」ガツガツガツガツ・・・
白「・・・また太るよ?」
T19「食わないでやってられるかい・・・」
スラ「あれがウナギ・・・雷魚みたい・・・ちょっと怖かったよね」
T19「ワームには味と匂いが付いてたはずなのに、何で吐き出しちゃったのかねぇ」
13「ジグヘッドが重過ぎたんじゃないか?それか針先が口に当たって勘付かれたか」
T19「オオナマズの時と同じ感じか・・・じゃあ次はノーシンカーでやってみよう!」
ティンバー「帰りの飛行機は明日の朝やで。そろそろ行かなヤバいんちゃうか?」
T19「いや、ポイントへ行くのは日が暮れてからだ。それまで休む」
ティンバー「はぁ!?お前何でそんな余裕やねん?」
T19「余裕なんか無いけど・・・でも焦りたくはない。今から投げに行っても、昨日みたいにティラピアの攻撃を受けるだけ。イールと出会う確率を上げるには、やっぱり夜でしょ」
3日間7キロのリュックを背負って歩き続けたダメージは結構大きく、全身の倦怠感が抜け切らない私T19。
ビジネスホテルをチェックアウトした後、近くの温泉へ。
この温泉、千円で1日中入り放題で、飲食所もあり、仮眠用のリクライニングシートもありと至れり尽せり!
平日だからか客も少なく、私は入浴と仮眠を何度も繰り返し、じっくり疲れを癒すことができました♪
そして日が暮れ出した17時半、悪あがきをすべく、フィールドへ向かいます!
13「18時!夜が来るぞ。いや~楽しみだ!」
ティンバー「制限時間はあと12時間か。ちょっとは焦った方がええんちゃうかな」
13「マスターは内心かなり焦ってるぞ」
ティンバー「え、そうか?」
13「あいつはこういう状況に弱いからな~。追い込まれたらすぐ自信を無くして諦めようとする」
ティンバー「それは言えてるな」
13「イールを仕留めるに越したことはないが、タイムリミットがギリギリまで近付いた時、マスターがどう対処するのかも見てみたい。どちらにしろ、今夜は面白くなりそうだ!」
橋のポイントに到着した時、既に周囲は暗闇。
街灯の光を頼りに、パックロッドに糸を通し、4インチグラブのノーシンカーをセット。
準備完了!トドメだ!食らえイール!
橋の上からワームを落とし込もうとしましたが、強風でラインが流され、狙った場所にワームが落ちない(泣)。
やっとのことで着水させても、使ってるのはゴワゴワの40ポンドナイロン。
感度が悪過ぎて、ノーシンカーではワームのアクションが全く伝わってこない・・・。
2時間が過ぎ、3時間、4時間・・・焦ってはいけないと解ってても、やはり気持ちが落ち着きません。
「ここまで入念に準備したのにボウズだったらどうしよう」なんてことばかり考えてしまいます。
丁度日付が変わった頃、遂に手元に反応有り!
「コッ、コッ」と何度か突くような感触の後、ラインがゆっくり横に動き出したので、フッキング!
しかし相手は殆ど引かず、バタバタと暴れるだけ。魚じゃないことはすぐに分かりました。
↓今回3匹目のスッポン・・・
T19「スッポンが暴れたから、イールを警戒させちゃったかもな・・・」
ティンバー「って言うかここホンマに魚居るか?こんだけやっても食ってこんのやで?」
T19「確かに・・・昨日居たからと言って今日も居るとは限らないしなぁ。場所変えよかな・・・」
スラ「その前に1回ライトで見てみようよ」
この時点で若干諦め気味な私T19、懐中電灯を水中に向けると・・・ユラユラユラ~っと、静かに消える魚体。
13「やはり居たのか」
T19「あの位置なら、絶対ワームの存在には気付いてたはず・・・なのに何故食わない!」
13「この街灯が問題なんじゃ無かろうか。これのせいで、お前のシルエットが水面に丸映りだ」
T19「いやでも、イールは目が悪いはずなんだけど」
13「視力は悪くても、明暗には敏感なのかもしれん。夜行性なら尚更な」
T19「・・・・・・よし決めた。作戦を変更する」
私は川沿いを上流に向かって1.5キロ歩き、川の中へ降りられる場所へ。
糸を20ポンドに巻き替え、風の影響を受けにくいようグラブの尻尾を切り、ネイルシンカーを埋め込みました。
T19「ここから川の中を歩いて、橋の所まで行く」
ティンバー「止めとけ危な過ぎるそんなん!」
スラ「そうだよ!真夜中だし溺れたらどうすんの!?」
T19「お前等はここで待ってたら良いから」
白「ちょっと13さん、またあんなこと言ってますよ・・・何とか止めて下さい」
13「マスター、お前本気か?」
T19「もちろん。最後の悪あがきだ」
13「・・・・・・よし!行ってこい!」
白「!?」
T19「2時間以内に戻るから!それまで待っててくれ!」
サンダルを脱ぎ、ロッド、リール、ワームだけ持って、水の中へ。
真夜中なのに、プレコ達は相変わらず元気。
「俺も元気出して行こう!」と思った矢先、プレコの巣穴に足を取られ、早速転倒(汗)。
ゴツゴツした岩場が続いて、足の裏にジンジン響いてくる・・・。
やがて若干水深が深くなり、足が痛くて仕方無いので泳ぐことに。
まさか沖縄の川で、夜中に水泳をすることになるとは・・・水がヌルいのが唯一の救いか。
まだ橋は見えてこない。1.5キロって意外と遠いな・・・。
ティンバー「何で行かせるねん!」
13「本気だって言ってたし、止めるのも野暮かと思ってな~。最後の悪あがきなんて、格好良いじゃないか」
白「あんなボロボロになってまでやることじゃないでしょ!?彼にもしものことがあったら、私達も帰れなくなるかもしれないんですよ!?」
13「あのな、そこまで弱くはないぞマスターは」
橋まであと少し!なのに手足が痺れてきたヤバいヤバい・・・。
橋付近は水深数十センチ。ボトムが粘土質になってて滑り易く、泳ぐことも歩くこともままならない状態。
私は四つん這いで水面に顔だけ出した状態で、ゆっくりとポイントに接近。
これ以上近付いたらイールに気付かれる。ここから投げよう。
立ち上がって姿勢を整え、川底に両足をめり込ませ・・・フルキャストー!
白「・・・もう2時間半経っちゃった・・・」
13「大丈夫だ信じろ」
ティンバー「・・・ん?あっ!帰って来た!」
スラ「ホントだ!」
T19「ごめんごめん、遅くなった!」
ティンバー「足が血だらけになってるやん!」
T19「平気平気!こんなんすぐ治るから!」
白「で、その左手に持ってる紐みたいのは・・・」
T19「いやあの・・・釣ったことは釣ったんだけど・・・」
白「・・・ちっさ・・・」
スラ「全然オオウナギっぽくないよね・・・」
T19「うん、5年前よりサイズダウンしてる・・・」
13「あはははは!よくやったよマスター!」
13「気落ちすることはない。お前は宣言通りルアーでイールを仕留めた。目標達成じゃないか」
T19「でもサイズが」
13「たまたま釣れた魚が小さかっただけの話だ。気に入らないならまたここへ来れば良い」
気が付けば、時刻は5時。周囲はうっすら明るくなってました。そろそろ行かないと。
イールは釣った。しかし5年前に掛けたアイツには遠く及ばないサイズ。気持ちはどうも煮え切りません。
13「気持ち良い朝だな~」
T19「俺は複雑な気分・・・」
13「わしは大満足だぞ。今回の遠征には90点やっても良い!」
T19「それはちょっと高過ぎる。せいぜい65点ってところでしょ。ミスも多かったし」
13「因縁は断ち切れそうにないか?」
T19「逆に余計深まったかも」
13「良かったじゃないか。楽しみが増えて」
T19「まぁ、一旦帰ろう!」